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Tin Crystal Growth of Tinplate during Quenching

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Vol.34,
No.12,
1983
587
ぶ りき の ス ズ 結 晶 成 長 に つ い て
西 條 謹 二 *,吉 岡
治*
*,根 本 忠 志 *
*,岡
Tin Crystal Growth of Tinplate
KinjiSAIJO*,
A study
has
flow-brightening
ripple-like
The
of
strip,
of
the
quenching
origin
of
origins
of
layer
supercooling
Actually,
pretreatment
the
thereby
is
pattern
on
size
of
or
annealing.
1.
緒
cooling
crystal
quenching
where
grain
size
grain
mechanism
It
found
was
site
of
size
the
occurs
contaminants
the
is
and
also
the
did
depends
surface
by
the
tinplate
during
stain•h
of
crystal
not
on
the
on
but
cooling
tin
rate.
the
At
substrate
surface
cleanness
supercooling
because
the
rate
contaminants
-a
the
growth
form
localized
crystals,
affected
of
the
crystallization
introduce
tinplate
amount
of
the •gquench
the
compound
nucleation
Takehiko OKA***
that
to
nucleation
intermetallic
surface
when
growth
corresponds
the
Fe-Sn
that
rate,
Tadashi, NEMOTO**,
tinning.
sites,
the
increased
the
indicated
the
suggested
controlling
grain
clarify
pattern,
during Quenching
YOSHIOKA**,
electrolytic
during
number
It
depends
tin
ripple
ripple
strip.
to
in
formed
the
the
that
substrate
tin
out
pattern,
indicating
the
carried
and
surface
layer.
most
been
Osamu
雄 彦*
*
*
of
was
the
of
degree
steel
reduced
of
strip.
during
間 に 進 行 し,現 象 の観 察 が難 し く,溶 融 光 輝 化 処理 過 程
言
に お け るス ズの 凝 固 を 取 り扱 った 研 究 は 極 め て 少 な い6),
ぶ りきは鋼 板 に ス ズめ っ き した表 面 処 理 鋼板 で,食 缶
7)。
な ど容器 用 材 料 と して 広 く用 い られ てい る。 このぶ りき
ぶ りき の表 面 ス ズ 結 晶 粒 の 大 きさが,ぶ
りきの 耐食 性
は 古 くは熱 漬 処 理 に よ り製 造 され てい た が,最 近 で はほ
に影 響 す る こ とは,一 般 に認 め られ てお り5),8),耐 食 性
とん ど,電 気 め っ きに よ り製 造 され て い る 。ぶ りき の製
の要 求 され る酸 性 果 実 缶 用 のぶ りき では,一 定 の大 き さ
造 工 程 は,脱 脂,酸 洗 な ど の前 処 理,ス ズ め っき,溶 融
以上 の スズ 結 晶粒 が 必要 とされ る。C.J. Thwaites6),7)
光 輝 化処 理 お よび 化 成 処理 の4工 程 に 大 別 で きる。 こ の
は,め っ き量,溶 融光 輝 化処 理 条 件 の ス ズ 結 晶粒 に対 す
うち溶 融 光 輝 化 処 理 に お い て は,電 気 め っ きで析 出 した
る影 響 は 大 きい が,め っ き条 件 を 変 え た り,原 板 を 化 学
表 層 の ス ズを 溶 融 し,表 面 に金 属 光 沢 を 与 え る と 同 時
研 磨 す る とス ズ 結 晶粒 が大 き くな る傾 向 を示 す こ とを 報
に,素
告 してい る。 この こ とは,め っ き前 原板 の表 面 特 性 が,
地 鋼 と ス ズ層 の界 面 に 耐食 性 の優 れ たFe‑Sn合
金 層 を形 成 せ しめ る。 このFe‑Sn合
ス ズ結 晶 粒 度 に 影響 を及 ぼ す こ とを示 唆 してい る。
金 層 に 関 しては,
形 成 機 構 お よび ぶ りき の耐 食 性 に 及 ぼ す 影響 につ い て数
本 研 究 で は,原 板 表 面 の清 浄 性 の ぶ りき特 性 に 及 ぼ す
多 くの研 究 が な され て い る1)〜4)。この溶 融 光 輝 化 処 理 に
影 響 に関 す る調 査9)〜11)の一 環 と して,ぶ
お い て は,合 金 層 の形 成 のみ な らず,表 面 の電 析 ス ズ 結
晶形 成 に 及 ぼ す 前 原板 の表 面 清 浄 性 の影 響 につ い て調 査
りき のス ズ 結
晶 の凝 固 組 織 へ の変 化 も起 こ り,こ の ス ズ の凝 固 組 織 が
を行 な った 結果,溶 融 光 輝 化 処 理 過 程 に お け る凝 固 ス ズ
ぶ りきの 耐食 性 に少 なか らず 影 響 を及 ぼ してい る こ とが
結 晶形 成 機 構 に 関 して幾 つ か の 知 見 が 得 られ た の で 報 告
知 られ て い る5)。 しか し,通
す る。
は通 電 に よ り,250〜300℃
常ぶ りき の溶 融 光 輝 化 処理
まで 加 熱 され,す み や か に,
2.
水 中 に 浸 せ きさ れ て急 冷 され るた あ,凝 固が 極 め て 短 時
* 東 洋 鋼 鈑(株)下
松 工 場(〒744
2‑1
下松 市 東 豊 井1302)
下 松 市 東 豊 井1296)
Toyo Kohan Co. Ltd., Technical Research Lab.
(1296, Higashi-Toyoi, Kudamatsu-shi,
Yamaguchi, 744)
*** 東 洋 鋼 鈑(殊)(千 代 田 区 霞 が 関1‑4‑3)
Toyo Kohan Co. Ltd. (4-3, Kasumigaseki-1chome, Chiyoda-ku, Tokyo 100)
験
方
法
ぶ りきの クエ ンチ模 様 お よび ス ズ 結 晶 粒 の観 察
ぶ りきの クエ ンチ 模 様 お よび ス ズ結 晶 粒 の 観 察 に は,
Toyo Kohan Co. Ltd., Kudamatsu Plant (1302,
Higashi-Toyoi, Kudamatsu-shi, Yamaguchi, 744)
** 東 洋鋼 鈑(株)技
術 研 究 所(〒744
実
クエ ンチ模 様 が 明 瞭 に 認 め られ る市 販 の#75ぶ りき(ス ズ
め っ き量8.4g/m2)を
用 い た。 試 料 に あ らか じめ ナ イ フ
に よ りス ク ラ ッチ で 印 を付 け て光 学 顕 微 鏡 に て観 察 した
後,20%
FeCl3水 溶 液 を しみ込 ませ た 脱 脂綿 に よ り肉眼
で 確認 で き る程 度 腐 食 し,再 び 同一 場 所 を 観 察 し,腐 食
前 後 の対 応 を 調 べ た 。
2‑2
‑23‑
凝 固 起 点 の観 察
588
研
究
金 属表 面 技 術
用 い た 。 この 熱 流 束 の求 め方 に つ
い ては,実 験 結 果3‑1節
に て詳 細
に述 べ る。 計 算 に 用 い た プ ロ グ
ラ ム はUNIVACのNASTRAN
Level 15.7で あ る。
2‑4
ス ズ 結 晶 粒 に 及 ぼ す原 板
表 面 清 浄 性 の 影響 調 査
通常,ぶ
りき原 板 に 用 い られ る
キ ャ ップ ド鋼,Alキ
ル ド 連続 鋳
造 材 の熱 延 材 を23本 用 い,通 常 行
な わ れ る方 法 で,冷 間 圧 延,電 解
洗 浄 を施 した の ち,2分
割 し,一
方 は 通常 の条 件(入 側 保 護 ガ ス の
露 点‑45℃
以下)で 焼 鈍 し,他 方
は 保 護 ガ ス の露 点18℃ で焼 鈍 し冷
a)
却 時 に 露 点‑45℃
b)
Fig. 1 Tinplate
以下 の ガス と置
換 した 。 い ずれ も,焼 鈍 温 度 は
serface as received and after etching.
670℃ で均 熱 時 間 は15hで あ る。
め っき処 理 は,前 処理 と して80℃ の5%苛
溶液 中 の電 解 脱 脂(10A/dm2×1s)と
性 ソー ダ水
常 温 の5%硫
酸水
溶液 中 で 電 解 酸 洗(陽 極処 理5A/dm2×0.5s後,陰
極処
理5A/dm2×0.5s)を
施 した 後,フ
て行 ない,8.4g/m2の
め っ きを 施 した。 そ の後,通 電 加
ェ ロス タ ン浴 を用 い
熱 に よ り250℃ に 加 熱(加 熱量 約32000kcal/m2h)し,直
ち に,80℃
の水 中 に クエ ンチを 行 ない 試 料 を 作 製 し,特
性 の評 価 を行 な った 。 ま た,原 板 表 面 の濃 化物 をESCA
(国 際 電 気,ES‑200型)を
用 い て 調 査 し,ぶ りき の ス ズ
結 晶 粒 度 と表 面 濃 化 物 の 関 係 も調 べ た 。
3.
3‑1
実 験 結 果 お よび 考 察
ス ズ結 晶 成 長 に つ い て
ぶ りきの 表 面 お よびぶ りきの 表 層 の ス ズ層 の腐 食 像 を
観 察 す る と,図1に
示 され る よ うに,加 熱 後 の水 冷 クエ
ンチ 時 に形 成 され る波 紋 状 の模 様 とス ズ結 晶 の間 に は,
1対1の
対 応 が認 め られ る。 さ らに,ス ズ 結 晶 の 起 点
が,ク エ ンチ 時 にぶ りき表 面 に 形成 され る波 紋 状 の 模 様
Fig.
2
Schematic
model
of tinplate
の中 心 に 一 致 す る ことが わ か る 。 図1を 模 式 的 に 表 現 す
surface.
る と,図2の
クエ ンチ模 様 の明 瞭 なぶ りきに つ い て,100倍
の実 体
び4の
顕 微 鏡 で 観察 しなが ら,ク エ ンチ 模 様 の波 紋 の中 心 部 に
200〜300μm径
ダ135g/lお
の印 を付 け,プ
ラム バイ ト液(苛 性 ソ ー
よび 酢 酸 鉛80g/lを 含 む 水 溶 液)に よる表 面
ト組 織 が 放 射 状 に成 長 して い る場 合 は,ス ズ の凝 固 の起
び5と 図1b)の
ス ズ除 去 前 後 の 定点 観 察 を走 査電 子 顕 微 鏡 に て 行 な っ
よ
対 応 は判 別 が 難 し くな る。 しか しな が
ら,例 えば 図2の 波 紋 の 中心5に つ い て 示 す な らば,
2,
伝 熱 計算
3お よ
点 と して識 別 が 容 易 で あ る。 これ に 対 し,図2の2お
た。
2‑3
よ うに な る。 図2の 波 紋 の 中心1,
よ うに,こ の点 を 起 点 と して,ス ズ の デ ン ドラ イ
3お よび4と の境 界 は太 線GFHIJで
で も確 認 で き る。 また,こ の図1b)の
ぶ りきの クエ ン チ時 の伝 熱 計算 を有 限 要 素 法 に よ り行
ドライ ト組 織 が 認 め られ,図2の5か
あ り,図1b)
右下に一部デ ン
ら図 の 右下 へ 凝 固
な った 。 モデ ル は 図7に 示 す 鋼板 断面 の2次 元 モ デ ル を
結 晶 の成 長 を示 して い る 。 クエ ンチ の波 紋 状 の 模 様 とぶ
用 い,境 界 条 件 の熱 流 束 は 顕 微 鏡観 察 に よ り求 め た値 を
りきの ス ズ結 晶を 約500点
‑24‑
対 比 して観 察 した 結 果 で は,
Vol.34,
Fig.
No.12,
3
1983
Schematic
of tinning
ぶ りきの ス ズ 結 晶成 長 に つ い て
of flow-brightening
line.
section
Fig.
4
589
Theoretical
during
cooling
curve
of tinplate
quenching.
スズ の凝 固 結 晶 の成 長 起 点 と クエ ンチ時 に形 成 され る波
紋 の中 心 は対 応 してい た 。 ま た,ク エ ン チ の波 紋 状 の 模
様 にめ っ き板 の溶 融 光 輝 化 処 理 を 交 流 通電 加 熱 で行 う時
の特 有 の模 様 で あ る。 め っ き後 の鋼 帯 は 図3に 示 す よ う
な溶 融 光 輝 化 処理 装 置 を通 っ て加 熱 冷却 され るが,こ の
場 合,鋼 帯 は#1コ
ン ダ ク タ ー ロー ル と#2コ ン ダ ク タ ー
ロー ル間 で 交 流 に よっ て通 電 加 熱 され,ク エ ン チ タ ン ク
に 導 入 され た後,水 冷 され る。 しか し,通 常#2コ
ンダ
クタ ー ロ ール は クエ ンチ タ ン クの 中 ま た は タ ン クの 出 側
に あ るた め,鋼 帯 は通 電 加 熱 され な が ら冷 却 さ れ るの
で,鋼
帯 の 冷 却 曲線 を模 式 的 に 示 す と 図4の
る。 鋼 帯 表 面 の ス ズ の凝 固 温 度 をtと
固 が 図4のt0≧t<t1の
よ うに な
した時,ス
ズの 凝
領 域 で 起 こる場 合 は,ス
ズの凝
固 は 平滑 に進 行 す るが,t1≧t<t2の
領 域 で起 こ る場 合
に は,ス ズ の凝 固 の停 滞 も し くは再 溶 解 が 起 こ り,図1
に 示す よ うな波 紋 状 の 模 様 が形 成 され る も の と推 定 され
る。
Fig. 5
こ こで,波 紋 が交 流 の周 期 と考 え られ る こ とか ら,今
波 紋 と波 紋 の間 隔 が1/120sと
を 測 定す る と,図5の
して,ス
ズ層 の 凝 固速 度
よ うに な る。 凝 固 の進 行 に と もな
Growth rate of tin crystals during
quenching.
Weight of tin coating: 8.4g/m2
Thickness of steel strip: 0.24mm
Strip speed: 5m/s
い,凝 固 末 期 の 凝 固 速 度 は,凝 固 開始 時 に 比 べ て,か な
り大 き くな る こ とが 認 め られ る。 こ こ で,ス ズ の凝 固速
る と仮 定 す る と,凝 固初 期 お よび 末期 の凝 固 速 度 は 図6
度 につ い て考 え る と,凝 固 に ともな う溶 融 潜 熱 の放 出 は
の走 査 電 子顕 微 鏡写 真 か ら,そ れ ぞれ 約0.3mm/s,
熱 伝 導 に よ らな けれ ば な ら ない か ら,微
少 領 域dxの
mm/sで
固 に と もな う発 熱量L・ ρ・dx(但し,Lは
溶 融 潜 熱,ρ は
密 度)とdxを
形 成 す る時 間dtで
dt(但 し,λ は 熱伝 導 度,dT/dxは
凝
の 熱 放 出量 λ・dT/dx・
凝 固 界 面 に お け る温
度 勾 配)は 等 しい か ら次 の よ うに な る12)。
12.0
ρは7g/cm3, λは0.155
cal/cm°Csで あ り,(1)式 よ り凝 固 界 面 の初 期 お よび 末期
の温 度 勾 配 は そ れ ぞ れ約2×103℃/m,
8×104℃/mに
なる
もの と考 え られ る。 ま た,表 面 ス ズ層 の 凝 固 反 応 時 間
は,溶 融 潜 熱 の放 出 に 要 す る 時間 に等 しい か ら,次 式 が
L・ρ・dx=λ・dT/dx・dt(1)
(1)式に よれ ば,凝 固速 度dx/dtは
あ る 。こ こ でLは14cal/g,
成 立す る。
凝 固 界 面 に お け る温
度 勾 配 に 比例 す る。 溶 融 ス ズ の熱 伝 導 率 は 固 相 ス ズ の そ
れ よ り も大 きい か ら13),潜 熱 の放 出 を液 相 の 熱 伝 導 に よ
‑25‑
A・ρ・L=q・t(2)
こ こで,Aは
単 位 面 積 当 りの ス ズ の厚 さ,ρ は 密度,
Lは 溶 融 潜 熱,qは
伝 熱 量 お よびtは 凝 固 に 要 す る時 間
590
研
Table
1
Relationship
of heat
究
transfer
between
Strip
strip
speed
Temperature
金属表面技術
and various
media
in quench
tank.
5m/S
in
quench
tank
80•Ž
と鋼 帯 の境 界 層 が 層 流境 界 とす る と,鋼 帯 と水 との 伝 熱
量 は 表1に 示 す よ うな 値 が 得 られ14),ス ズ の凝 固 時 の 鋼
帯 と冷媒 の水 と の界 面 に,飽 和 水 蒸 気 の 気泡 が存 在 す る
a)
もの と考 え られ る。
3‑2
スズ 凝 固 結 晶 の 起 点 に つ い て
前 項 で述 べ た よ うに,ぶ
りきの表 面 ス ズ の凝 固 の 起 点
は クエ ンチ時 に 形 成 され る波 紋 状 模 様 の 中心 に一 致 す る
こ とがわ か った ので,こ の 波紋 の 中心 を走 査 電 子 顕 微 鏡
に よ り観 察 した 。 そ の 結 果 の代 表 的 な も の を 図6に
示
す 。 図6に 示 され る よ うに,波 紋 の 中 心 部 で は表 面 ス ズ
層 を除 去 す る と10μm程 度 の径 のFeSn2合
b)
金 が形 成 し て
い な い部 分 が 認 め られ る。 クエ ンチ の波 紋 の 中 心 部 を
視 野 観 察 した 結 果,約400視
野 に,こ の よ うな合 金 層 未
形 成 領域 が認 め られ た 。 これ よ り,ス ズ 凝 固 の起 点 の大
半 の 部分 で は,鋼
表 面 の バ リヤ ー の た め にFeSn2が
形
成 され な い ことが 考 え られ る。 つ ま り,熱 伝 導 率 の小 さ
Fig.
6
で あ る 。 こ こ で,図1に
と,表
い バ リヤ ー が鋼 板 表 面 に あ るた め に,ク エ ンチ の冷 却 過
Scanning
electron micrographs
of origin
of ripple mark as received
and after
removal of surface free tin.
示 したぶ りきに つ い て 考 え る
面 ス ズ 量 は7.8g/m2,
平 均 で 約0.08sと
Lは14cal/g,
推 定 さ れ る た め,ク
帯 は 冷 却 時 に お い て も 図3に
加 熱 さ れ て お り,こ
tは 図1よ
り
エ ンチ過 程 に おけ
る ス ズ 凝 固 時 の 伝 熱 量 は 約5200kcal/m2hと
こ れ に 対 し,鋼
程 で そ の部 分 の ス ズ層 が 局 部 過 冷 さ れ,凝 固結 晶 の核 形
成 が 起 こる もの と推 定 され る 。
推 定 され る。
示 す よ うに
りきの板 厚 方 向 の2次
元 モ デ ル を用 い て,有 限 要 素 法 に よる熱 伝 導 計 算 を 行 な
った 。境 界 条 件 と して 前 項 で 得 られ た 伝 熱 量21200kcal/
m2h,鋼 帯 片 面 で の発 熱 量16000kcal/m2hを
代 入 し,バ
リヤ ー層 に種 々の 厚 さの 酸 化膜 を想 定 して,ス ズ層 の温
て も,ス ズ結 晶 形 成 初 期 の 温 度 勾 配約108℃/mに
比 べ,
帯 の 加 熱 量 約32000kcal/m2hの
半 分 と ス ズ 凝 固 時 の 伝 熱 量 約5200kcal/m2hを
約21200kcal/m2hと
示 す よ うな,ぶ
度 変 化 を調 べ た が,ス ズ 層 を 同 じ厚 さ の 酸 化 膜 を想 定 し
の 加 熱 量 は 約32000kcal/m2h注)で
あ る 。 こ の こ と か ら鋼 帯 片 面 に お け る ク エ ン チ 時 の 板 と
水 と の 間 の 伝 熱 量 は,鋼
そ こで,図7に
推 定 さ れ る 。 さ ら に,冷
合わせた
媒 で あ る水
‑26‑
注) 加 熱 時 の通 板 速 度,板 サ イズ,電 流 お よび 電 圧 か
ら求 め た。
Vol.34,
No.12,
1983
ぶ りき の ス ズ 結 晶 成 長 に つ い て
591
は るか に小 さい 値 を示 した。 そ こで,溶 融 した ス ズ層 が
バ リヤ ー に よっ て ハ ジキ(dewettig)を
起 こ し,図7に
示 す よ うな バ リヤ ー層 と して空 隙 を形 成 して い る モ デ ル
を 想 定 して計 算 を 行 な った結 果,0.1〜0.5μ
程 度 の空 隙
を 想 定す る こ とに よ り,空 隙近 傍 に 約103℃/mの
温度勾
配 が得 られ た 。
ス ズ結 晶 粒 度 に及 ぼ す 要 因 と して,鋼 帯 表 面 近 傍 の 断
熱 層 の効 果 と と もに,溶 融 光 輝 化処 理 時 の鋼 帯 の 冷 却速
度 の影 響 が 上 げ られ る。 す で に報 告 され てい る よ うに6),
7),鋼 帯 の 冷 却 条件 の変 化 に よ りス ズ結 晶粒 度 が 変 化す
る こ とは,合 金 層未 形 成 箇 所 のす べ てが 凝 固 の 起 点 に は
な らな い こ とを示 して い る。 つ ま り,合 金 層 未 形成 部 は
冷 却 前 に す で に存 在 して い な けれ ば な らな い か ら,合 金
層 未形 成 部 が 凝 固 時 の核 形 成 の起 点 に な るか 否 か は,そ
の 部分 の ス ズ の過 冷 度 に依 存 し,冷 却 速 度 が 小 さ い 場
合,局 部 過 冷 が 起 こ り難 い ため,大
きな 欠陥 部 のみ で 核
形 成 に十 分 な 局 部 過冷 が起 こ り,ス ズ 結 晶粒 は大 き くな
る の に対 し,冷 却速 度 が大 きい 場 合,小 さ な欠 陥 部 に お
い て も十 分 に 局部 過 冷 が 起 こ るた め に,ス ズ 結 晶 粒 は小
さ くな る もの と考 え られ る。 さ らに,鋼 帯 の 加 熱 温 度 を
上 昇 す る と,ス ズ結 晶 粒 が 大 き くな る のは,ク エ ンチ タ
ンクへ 鋼 帯 が持 ち込 む 熱 量 が 多 くな り,鋼 板 の冷 却 速 度
Fig.
が 小 さ くな る こ とに よ る と考 え られ る。 い ず れ にせ よ,
Temperature
distribution
on surface
of
tinplate over a barrier
layer calculated
by the finite element
method
using a
two-dimensional
model in the thickness
direction
of the tinplate.
溶 融 光 輝 化処 理 条 件 を 変 え て ス ズ結 晶 の粗 大 化 を行 な っ
て も,ぶ
7
りきの耐 食 性 に 大 きな影 響 を 及 ぼ す と推 測 され
る合 金 層 未形 成 部 を 減 少 させ る こ とは 期 待 で き な い た
め,溶 融光 輝 化 処 理 条 件 に よっ て十 分 な 耐食 性 を付 与 す
に 箱 型 焼 鈍 後 の表 面 濃 化 物 は 焼 鈍雰 囲気 の露 点 に 影響 さ
る こ とは 困難 であ る と推 測 され る。
れ,高 露 点 の雰 囲気 中 で 鋼 帯 を焼 鈍 す る と,Mn,
3‑3
Siな
どの 濃 化 は抑 制 され る。 そ こで,高 露 点 雰 囲 気 中 で焼 鈍
ス ズ 結 晶粒 度 に及 ぼ す原 板 表 面清 浄 性 の 影 響
した 材 料 を 原板 とし て,ぶ
前 項 でぶ りき表 面 の ス ズ の凝 固 の起 点 に 数 μm径 程 度
りきを製 造 した 場 合 のぶ りき
のス ズ 結 晶粒 度 を 調 査 した 。 そ の結 果 を 図9に 示 す 。 図
の大 き さで,ス ズ と素 地 鋼 の濡 れ を 妨 げ る何 か が あ り,
FeSn2合 金 の形 成 が起 き てい な い こ とを示 唆 す る結 果 が
9に 示 され る よ うに,高 露 点 雰 囲気 中で 焼 鈍 した材 料 を
得 られ た 。 この こ とか ら,め っ き原 板 の表 面 清 浄 性 が 凝
用 い たぶ りき のス ズ 結 晶粒 は大 き くな る傾 向 を示 す が,
固 スズ 結 晶 の数 に影 響 を 及 ぼ す もの と推 定 され るた め,
通常 焼 鈍 に比 べ 著 しい 差 は な い。 これ は 前処 理 の結 果 か
ぶ りきの ス ズ結 晶粒 度 に 及 ぼ す め っき前 処 理 お よび箱 型
ら も明 らか な よ うに,単 位 面 積 当 りの ス ズ結 晶粒 の数 を
焼 鈍 後 の表 面濃 化 物 の影 響 に つ い て調 査 した 。
半 分 にす るた め に は,凝 固 ス ズ結 晶 形 成 の起 点 の数 を 半
電 気 め っ き前 処 理 と して ア ル カ リ電 解 脱 脂 の み を施 し
分 にす る と同 時 に,合 金 層 未 形 成 領 域 の 大 き さ もか な り
た ぶ りき とア ル カ リ電 解脱 脂 と硫 酸 電 解 酸 洗 を 施 した場
小 さ くす る必 要 が あ る のに 対 し,高 露 点 雰 囲 気 中 で焼 鈍
合 の ぶ りき のス ズ 結 晶粒 度(TCS)と
す る こ とに よる表 面 濃 化 物 の 減 少割 合 は あ ま り大 き くな
鉄 溶 出(ISV)試
験
結 果 を表2に 示 す 。 また,そ れ ぞ れ のぶ りきの凝 固 の起
い こ とに よる と考 え られ る。 しか し,原 板 表 面 のMn,
点 の走 査 電 子 顕 微 鏡 写 真 を図8に 示 す 。 電解 酸 洗 を施 す
Si量 とぶ りきの ス ズ結 晶粒 度 との 関 係 は,図10に 示 す よ
と,単 位 面 積 当 りの ス ズ結 晶粒 の 数 が約1/2に減 少 し,図
うに 傾 向 は 明 らか に 認 め られ,原 板 表 面 の濃 化 物 な ど の
8に 示 す よ うに,凝 固 ス ズ結 晶 形 成 の起 点 の合 金 層 未 形
酸 化 物 層 が ス ズ結 晶 粒 形 成 に 影響 を及 ぼ す こ とを示 唆 し
成 領 域 の大 き さ も,約1/3に 小 さ くな る。 こ の よ うに め っ
てい る。 ま た,ぶ
き前 処 理 を 強 化す る こ とに よ り,ぶ りき の スズ 結 晶 粒 を
焼 鈍 雰 囲 気 の露 点 を上 昇 す る こ とに よ り低 下 し,変 動 も
小 さ くす る欠 陥 の数 も減 少 す る と同時 に欠 陥 の大 き さ も
小 さ くな る傾 向が 認 め られ る。 これ に 対 し,鋼 中 のMn
小 さ くな る 。
濃 度 が 高 い場 合 に は,オ ー プ ン焼 鈍 の 雰 囲 気 中 の露 点 上
前 に報 告 した よ うに9),ぶ
りき原板 の表 面 清 浄 性,特
昇 に よ り,ISVが
‑27‑
りきのISVも
ス ズ結 晶 粒 度 と同 様に,
高 くな る とい う報 告 もあ る15)。これ ら
592
研
Table
2
Effect
of pretreatment
before
究
金 属 表 面技 術
electrolytic
tinning.
2N+3/dm2
Base steel;
rimmed
steel
a)
Fig. 9
Grain size in tinplate manufactured
under normal and high dew point
atmospheres.
Weight of tin coating: 8.4g/m2
Thickness of steel strip: 0.24mm
Strip speed: 5m/s
Temper: T-2.5
b)
ズ 結 晶粒 は小 さ くな る もの と推 定 され る。
この こ とか ら,ぶ
りきの耐 食 性 向 上 に は,ぶ
りき原 板
の 表面 清 浄 性 の改 善 お よび め っき前 処 理 の 強 化 に よる ス
ズ 結 晶粒 の粗 大 化 が 好 ま しい もの と考 え られ る。
Fig.
8
4.
Effect of pickling in the tinning
line on
surface defects at the origin of crystallization.
結
論
ぶ りきの凝 固 スズ 結 晶 形 成機 構 につ い て調 査 を 行 な っ
た 結果,次
相反 す る理 由は 明 らかで は な い が,焼 鈍 法 の 違 い あ る い
1)
の よ うな 知 見 が 得 られた 。
ぶ りきの表 面 ス ズ の 凝 固 の起 点 とな る 部 分 で は
は使 用 材 料 の違 い も考 慮 す る必要 が あ る。 本 研 究 に お い
FeSn2が 形 成 され て い な い場 合 が多 く,凝 固 の起 点 の約
て は,表2に
80%を 占 め る。
示 す よ うに 電 解 酸 洗 を施 す と単 位 面 積 当 り
の ス ズ結 晶 の数 は約1/2に,ISVは
約1/4に減 少 して い る。
2)
ぶ りき の ス ズ結 晶 粒 度 は 原板 の表 面 清 浄 性 に 影 響
こ こで,冷 却 条 件 が等 しい 場 合,ス ズ結 晶粒 の 数 は 合金
され る。 この た め,め っ きの 前 処理 を 強化 す る こ とに よ
層 未 形成 領 域 の数 に 比例 す る と考 え られ る こ と か ら,
りス ズ 結 晶粒 は 大 き くな り,凝 固 の起 点 とな る合 金 層 未
ISVの 変 化 量 は 合 金 層未 形 成 領 域 の数 の変 化 量 の 約2倍
形 成 部 の 数 が 少 な くな る と同 時 に 大 きさ も小 さ くな る。
と推 測 され,ISVが
低下 す る要 因 と して,合 金 層 未形 成
以 上 に示 した よ うに,表 面 濃 化 物 な どの表 面 層 の 酸 化
物 は 数 μm〜10μm径
3)
凝 固 ス ズ結 晶 とクエ ンチ 時 に形 成 され る波 斑 状 の
模 様 とは1対1の
領 域 の数 と大 き さ も考慮 す る必 要 が あ る。
程 度 の 合 金 層 未 形 成 領域 の形 成 の
対 応 が 認 め られ,ぶ
りき表 面 の 凝 固 ス
ズ結 晶 の 成 長過 程 を波 斑 状 の 模 様 よ り推測 で き る。 こ
れ に よ る と,凝
固初 期 のス ズ 結 晶 成 長速 度 は お よそ0.3
原 因 に な り,そ れ が 表 面 ス ズ凝 固 の起 点 とな り得 る も の
mm/sで
あ り,凝 固 末 期 で は お よそ12.0mm/sと
と推 定 され る。 しか し,表 面 ス ズ凝 固 の 起点 は,ス ズ層
れ る。 また,凝 固初 期 の凝 固 界 面 に お け る温 度勾 配 は約
と素 地 鋼 の 間 に断 熱 層 が あ れ ば局 部 過 冷 され て起 点 に な
2×103℃/mと
推 定 され,熱
推定 さ
伝導 計算 の 結 果 で は,局 部
り得 るた め,特 に表 層 の 酸 化物 で あ る必 要 は な く,種 々
過 冷 に よ りこ の値 を 得 るに は,ス ズ結 晶 成 長 起点 に お い
の 原板 表 面 の汚 染 層 な ど の存 在 に よっ て も,ぶ
て ス ズ はdewettingし,原
りき の ス
‑28‑
板 とス ズ層 の間 に 空 隙 を形 成
Vol.34,
No.12,
Fig. 10
1983
ぶ りきの ス ズ結 晶成 長 に つ い て
Relationship between the segregation
grain size of tinplate.
Weight of tin coating: 8.4g/m2
Thickness of steel strip: 0.24mm
して い る こ とが推 定 され る。
4)
of Mn and Si on steel substrate
濃 化 物 の影 響 を 受 け,高 露 点 雰 囲 気 中 で焼 鈍 を行 な い濃
73)
5) G.W. Patrick;
も小 さ くな る傾 向 を示 す 。 また,ISVも
ス ズ結 晶 粒 と同
(1983‑7‑4
本 論文 中 の非SI単
位 のSI単
First International
6) C.J. Thwaites;
8)
東 洋 鋼 銀;ぶ
受理)
(1970,ア
9)
位 に 対 す る換 算 表
Tinplate
Con-
JISI, 7, 244 (1956)
7) C.J. Thwaites;
協 会第66回 学 術講 演大 会 に て 発 表)
S. Wach; JISI, 211, 880 (19
ference, 270 (1976)
化 物 を減 少 させ る と結 晶粒 は大 き くな り,大 き さの 変 動
様 に改 善 され,変 動 も小 さ くな る。
and the
Strip speed: 5m/s
Temper: T-2.5
4) J.V. Castell-Evans,
箱 型 焼 鈍 材 を用 いた ぶ りきの ス ズ結 晶粒 度 は 表 面
(昭和57年10月,本
593
163
235
條 謹 二,乾
恒 夫;鉄
と 鋼,
64,
〔8〕,
A
(1978)
盛 山 博 一,吉
筒 井 信 行;鉄
11)
61, 113 (1960)
グ ネ)
吉 岡 治,西
10)
Metallurgia,
り き と テ ィ ン フ リ ー ス チ ー ル,p.
乾 恒 夫,西
岡 治,河
と鋼,
66,
條 謹 二,盛
村 宏 明,西
條 謹 二,乾
〔2〕, A89
(1980)
山 博 一;金
表 誌,
恒 夫,
32,
509
(1981)
文
献
1) D.R. Gabe; JISI, 204, 95 (1966)
2) H.E. Biber, W.T. Harter;
ギ ー ド;基
13)
日 本 金 属 学 会;金
礎 伝 熱 工 学,p.
属 デ ー タ ブ ッ ク,p.
11 (1971,丸
日 本 機 械 学 会;伝
熱 工 学 資 料,p.
善)
13
(1974,丸
善)
14)
J. Electrochem. Soc,
300
(1975,日
本
機 械 学 会)
15)
113, 828 (1968)
3) J.V. Castell-Evans;
12)
Trans. Inst. Metal Finishing,
望 月 一 雄,番
A93
47, 71 (1969)
‑29‑
(1980)
典 二,原
田 俊 一;鋼
と 鋼,
66,
〔2〕,
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